突然、意識を引っ張られる様に目が覚めた。

音の無い白くて、どこまで続いているのか分からない広い世界に僕は座っていた。

辺りを見回さなくても、ここが現実の世界でない事は明白だ。

火茂瀬の言う通りなら、どこかに被害者である女性が居るはずだ。

死体の女を思い出しながら、白い世界で女を探す為に立ち上がろうとすると、視界がぐらりと揺れた。

天井も床も真っ白だから一瞬理解が出来なかったが、背中の痛みで倒れたのだと悟る。

「平塚香織(ヒラツカ カオリ)だな?」

天井と茶色い髪が床に触れている女を見つめ、押し倒されたのだと知る。

『そうよ。刑事さん』