「あ、来た来た!ちょっと手伝って下さいよ」

僕を見付けると、眉を下げた火茂瀬が駆け寄ってきた。

名前を呼ぶことは気にしないで、困っている理由を聞いてみる。

「どうした……あれか?」

火茂瀬の背後を見ると、壁にもたれているホームレスが視界に入った。

「そうなんです」

汚れた衣服に身を包み、左右バラバラの靴を履いて、座っている姿は死体の様だ。

「第一発見者なんですけど、何も教えてくれなくてぇ」

「お前、刑事なんだから聞き出せよ」

少し大袈裟に溜め息をつく。