閉めた扉を開け、数分前まで乗っていた愛車に戻ろうとすると、突然デスクの電話が鳴った。

「出てくる」

白城は自分のデスクに足早に向かうと、素早く受話器を取った。

「白城です。……お、どした?……えっ……分かった。すぐ行く」

受話器を戻すと、白城は険しい顔で僕を見た。

「亀井が桑月の死体を藤山真綾と同じ現場で見つけた。今すぐ行くぞ」

「わかりました」

僕たちは急いで愛車に乗り込み、廃墟ビルへ向かった。

電話の内容は予想通りだった。

亀井威(カメイ タケル)は僕の次に見回りをする事になっていた同期の刑事。