ゆっくりと内ポケットから血がこびり付いた拳銃を取り出した。

これはヒツキが所持していた物で、ヒツキを殺した物でもあるが、萌の命を奪った物でもある。

僕は結婚届を握り締め、拳銃が逆さまになる様に銃口を喉に向ける。

萌の命と引き換えになった、僕の命。

粗末にするわけにはいかないと考えたが、萌の居ないこの世には生きる意味など無い。

「萌、愛してるよ……」

僕は萌と一緒になる為にトリガーを引いた。