拳銃を握る両手が震えている。

「私はこの子の悲しむ顔なんて、もう見たくないのッ」

「僕だって、見たくないさ。大好きなあの笑顔をずっと見てたいよ」

「だったら」

「だからこんな事終わりにしろッ。お前がやってる事は萌の為でも何でもない。ただの殺人だッ!!」

ヒツキの表情は怒りに満ちていた。

ヒツキに刺激を与え、撃たれると思い、逃げる姿勢をとると同時に火茂瀬は僕を庇う為に、僕とヒツキの間に入った。

僕と火茂瀬は死を覚悟し、目を強く瞑った。

だが、来るべき時が来ない。

ゆっくりと目を開けると、火茂瀬と目が合った。