「彼女は催眠薬を使用して、男性客を誘導していました。報酬を受け取りに来たのは最初の頃に、ほんの数人だけ。気が付けば依頼は完了しているのに男性客が店に戻って来ることはありませんでした……」

マスターは小さく“二度と”と付け足した。

「催眠薬はどこから?」

「入手経路について、私は知りません」

「貴方は男性客が依頼を完了させたら殺されているのを知っていますか?」

白城先輩はマスターの話を書き留めながら質問をする。

「はい。でも最初は戻って来てた男性客も居ましたから、何人かは今も生きているのではないでしょうか?最近の男性客は女性を殺した後、まるで私たちの後始末をするかの様に執行人が殺しています」

“復讐”を“後始末”と勘違いされ、思わず苦笑いを浮かべた。

「歌姫と執行人の繋がりは?」

白城先輩は疑問を消す為に質問を続ける。