ヒツキなのか萌さんなのか分からないが、歌姫の様子がおかしくなった。

ここは梓さんに任せて、俺は白城先輩に状況を伝える為に部屋を出た。

一階へ行くと、既に白城先輩がお客と従業員を店の外へ避難させていた。

俺はお客に事情を説明している白城先輩の背中に声を掛けた。

「火茂瀬!梓は無事なのかッ!?」

説明を部下に任せ、俺の所へ走って来た白城先輩は焦っていた。

確か、梓さんの声は白城先輩に聞こえているはずだった。

「通信機はどーしました?」

「それが故障したみたいで、梓の声が聞こえなくなったんだ」

「梓さんなら大丈夫です。ただ歌姫の様子がおかしくなりまして……彼女、二重人格みたいッス」