「すいません」

バレる前に帰ろう。

そう思い、踵を返した。

「彼氏、居たんだな。萌ちゃん。指輪なんて付けちゃって」

既にバレていた。

声を掛けられた時点で手遅れだったのだ。

「俺の事、裏切りやがって。萌ちゃんは俺のものだ。誰にも渡さない」

命の危機を感じた。

逃げなければ、殺されてしまう。

振り返らず、私は走り出した。