「その予定だったけど、気にしないで」

仮面を付けたヒツキはホッとした様に微笑んだ。

ステージに立つ事が嫌いなんだろうか。

「でもファンが待ってるんじゃない?」

「今日はお客さん少ないから大丈夫だと思うわ」

ヒツキは興味が無さそうに、呑みかけのワインに手を伸ばす。

俺はベッドの淵に腰掛けているヒツキに歩み寄り、隣に座って細い腰を撫でる。

「そっか……俺ね、ステージに立っている時のヒツキちゃん好きなんだよね。キラキラしててセクシーで……」

歌っている時のヒツキを思い浮かべる。

「あ!ねぇ、ステージ立つ時みたいにアクセ付けて俺だけに歌ってくれない?」