「俺は部下とBARのある建物周辺を見張ってるよ。地下にあるから出入り口は少ないと思うけど、アリの巣みたいに一階とか隣のビルに繋がってる可能性もあるからね」

窓から外を見ると、私服の白城の部下や僕達の部下が既に位置に付いていた。

「これ、白城先輩の分の通信機です。僕が中に入ったら、これで中の様子を窺って下さい。何かあれば先輩の判断でお客を避難させて下さい」

白城は受け取った通信機をポケットにしまった。

僕のスーツの内ポケットに取り付けた通信機は火茂瀬からの音を受信して、僕の耳に付いている小型コードレスイヤホンに送ってくれている。

『こんばんわ、マスター』

『いらっしゃいませ。何になさいますか?』

『おまかせで』

カウンター席に座った火茂瀬は、アルコールを呑む気でいる。

マスターがシェイカーを振る音が聞こえ、すぐにカクテルが出された。