BARに向かう白城が運転する車の中、不安げな顔とバックミラー越しに目が合う。

「白城先輩は何度かTV出てますし、会員証が必要なので、僕達だけで大丈夫ですよ」

それは表向きの理由である。

「僕はBARとか不慣れなので火茂瀬に先に入ってもらい、歌姫が居ることを確認してもらいます」

「梓はどうするの?」

「火茂瀬に通信機を持たせてあるので会話を聞きながらタイミングを見て店に入ります。店内の様子を窺いながら、火茂瀬に何かあれば、そちらに向かいます」

車が店の前に到着する。

「酒呑んだ方が自然ッスよね!?」

「臨機応変に頼む」

火茂瀬が目を輝かせながら車を降り、1人で地下にあるBARに向かった。