今の発言は俺であって俺じゃない。

「美人を殺して私に報告してくれるだけでいいの。簡単な仕事でしょ?」

怪しげに笑うヒツキの顔も見えるし、殺人依頼の内容も聞こえる。

「それだけでいいの?」

だかど答えているのは俺じゃない。

“俺”の意識は体から隔離されている。

ヒツキと取り引きをしているのは俺の“体”だ。

「こんなに簡単なのに誰も報告に来てくれないの。好きなだけ報酬を出してあげるって言ってもダメなの」

「俺に任せて」

だんだん“俺”は眠くなってきた。