現実の女に手を出した事は一度も無い。

俺の中に残る理性の欠片が、目の前の女を拒絶する。

殺人依頼の情報を聞き出さなくては……。

「ねぇ……服を脱ぐ前に、呑み直ししましょ?」

俺が声を発する前にカーテンの隙間から伸びてきた手が俺の頬を撫でる。

残った理性を削ぎ落とす様に優しくゆっくりと。

「あぁ……じゃぁ少しだけ」

俺の頬を撫でる手に自分の手を重ねる。

ヒツキは手をカーテンの中に引っ込めると、白いシーツを体に巻き、カーテンを開けた。

「ここ。座って」

ヒツキはベッドの淵に座り俺の手を取ると、自分の右隣に座るように誘導した。