甘く官能的な香りは、俺の理性を容易に狂わせた。

「この部屋には……2人だけ?」

薄暗い照明が大人の世界を作り出す。

俺は首元まで締めていたネクタイを片手で緩めた。

「貴方と私……2人だけよ」

ヒツキは自分の腰をゆっくりと撫でた。

その行為を見て、俺は下唇を舐めた。

久しぶりの生身の女に、体内で血液が駆け巡っていた。

そして浮かぶ、みゆきの顔。

今まで女霊とは体を重ねていたが、それは夢であって現実ではない。