「……イタッ!!」

涙目の火茂瀬は左頬に手を当てながら僕を見上げる。

「梓さんッ!?何で俺の事殴るんスか!?」

「……可能性はあるな」

僕はひとつ、予想していたことがある。

「可能性って何スか!?……うわ、血ぃ出てるッ」

火茂瀬は僕の言葉に疑問を浮かべながらも、口内が切れている事に騒いでいる。

「火茂瀬、お前、催眠術をかけられていたんだ」

口の端から垂れている血を拭う火茂瀬の手が止まる。

「……さい、みんじゅつ?」