火茂瀬は振り返り様に僕を突き飛ばし、ナイフを振り上げた。

「おい、火茂瀬!!何してるッ!?」

振り下ろしたナイフは、身を守った僕の腕に当たった。

コートのお陰で怪我はしなかったが、火茂瀬が本気なのだという事が解った。

「いい加減にしろ!!」

再び向かって来たナイフを叩き落とし、火茂瀬の左頬に拳を入れた。

火茂瀬は勢い良くアスファルトの地面に倒れた。

殴った右手が痛い。

痛い右手をさすりながら火茂瀬の様子を眺めていると、むくっと起き上がった。

来る!と思い身構えると、火茂瀬はマヌケな顔をしていた。