電話を鳴らしながら辺りを見回す。 近付く音。 暗い駐車場の中でゆらゆら光るケータイの画面を見つけた。 火茂瀬は鳴り続けているケータイを手にしているのに出ようとしない。 バイクにゆっくり向かう火茂瀬に駆け寄った。 「おい、火茂瀬」 背後から近付き、肩に手を置く。 「……し……で……い」 ぼそぼそと何を言っているのか聞き取れない。 「は?」 「邪魔しないで……下さいッ!!」