マンションのエントランスホールから火茂瀬に電話を掛けながら、そこに向かった。

だが、エントランスホールには見当たらなかった。

耳をよく澄まし、どこで鳴っているのか確認する。

辺りを見回していると、花壇の所に座っている人影を見つけた。

話しかけようと口を開いたが、よく見ると人ではなく、鎖に繋がれた霊だった。

地縛霊なのだろうか。

目が合っているあの霊には近づいてはいけないという事は良く解る。

目を逸らし、火茂瀬を探す。

後ろから視線を感じるが気にしないでエントランスホールから離れる。

『おい、アンタ』