文月は消えかけていたのだ。

『俺、成仏出来るみたいです』

文月は消えかけている自分の両手を見つめ、嬉しそうに呟いた。

「次はまともな人間になれよ」

執行人の僕が偉そうな事は言えないが、ここは刑事らしく。

『生まれ変わったら親孝行出来る人間になるわ……。じゃぁね』

文月はその言葉を最期に、悲しそうな笑顔で消えていった。