「はい。それじゃぁ、俺は歌姫ちゃんの所へ行きますね」 「じゃぁまた明日」 僕は2階に上がる火茂瀬の背中に手を振った。 マスターに火茂瀬の分の代金も支払い、外に停めてある車へ急いだ。 「はぁ……」 シートベルトを締め、安堵の溜め息。 やはり慣れない場所というのは体に良くない。 『あれ、1人?』 「うわっ……脅かすな」 助手席に座っていた文月に気付かなかった。