『電車は動いてねーよ。こっからじゃ近くねぇから歩きじゃ無理だ』

文月は驚き面倒臭そうな顔で僕を見上げる。

「安心しろ。車だ」

「お前は重要人物なんだ。逃げられると思うなよ?」

僕らの鋭い視線に逃げるのを諦めた文月は立ち上がった。

『わーったよ。案内すっから、その目止めてくれ』

文月は迷惑そうに言った。

「よし、すぐに向かおう」

火茂瀬が文月を拘束する形で、僕たちは駐車場を出た。