真綾は一度言葉を切り、首を傾げた。 『……どっちの肘だったかしら?』 「思い出して。その通りにするから」 俺の隣で真綾は砂や虫の死骸で汚れた床に視線を彷徨わせながら記憶を呼び覚ます。 『あ、左だ』 手をポンっと叩いて俺を見る。 「了解」 桑月の左腕を掴む。 「んーッ!!……ぅヴヴッ!!……んんッ!!」 目を見開いて首をブンブン横に振って止めてくれと訴える。