「どした?」

俺は首を傾げ、奈々美の顔を覗く。

『依頼したけど……良いのかなって』

殺されているのに、どこまでも優しい人だ。

死んでいるのだから常識なんて必要ないのに。

「人の命を奪う罪人を生かしておく必要はない」

『違うわ……貴方に殺してもらうことよ』

自分の恨みで依頼してくる女しか、今までいなかった。

奈々美もその一人だが、俺の事を気にかけてくれる女性は初めてだった。

「俺の手はずっと前から汚れてるから気にしなくていい。俺たちに任せて。絶対あいつを殺すから」