身を乗り出して運転席の僕に近付く。 「接触したら勘付かれる」 「近くの席に座らなきゃいいんスよ」 ギュルギュルと再び腹の虫が鳴る。 「今の、俺の腹じゃないっスよ?」 火茂瀬は至近距離でニヤリと笑う。 不覚にも僕の腹が鳴ってしまった。 「梓さんも腹減ってんじゃないスか」 クスクス笑っている火茂瀬を殴りたい。 「胃が活発になってるだけで、空腹じゃない」