「はい、ブラックコーヒーです」

「ありがと」

火茂瀬から湯気の立ち昇るマグカップを受け取る。

「いやぁ……驚きましたね」

火茂瀬はマジックミラーの向こう側を見つめる。

僕も熱いブラックコーヒーをすすりながら、火茂瀬と同じ方向を見つめた。

「こんなこと初めてだ」

小刻みに震える真っ青な顔をした青年は、今にも泣き出しそうだ。

青年の名は藤川大知(フジカワ ダイチ)。

『自分が殺しました』