「刑事として……と言うか人間として間違っているのは解ってる。終わりにしようとした時もあった。でも、萌に似てて僕は犯人を殺し続けた。気付けば復讐に依存していて、執行人と唱われる様にまでなってしまった」

道路が少しずつ空いてくる。

「今でも、初乃咲さんの捜索をしてるんですよね?」

不安気に火茂瀬が聞いてきた。

「最近は忙しくて捜索出来てない。4年も前の事件じゃ足取りを掴むのは困難だ。それに復讐してやりたいが萌の死体なんて見たくない……僕の記憶は色んな萌が残ってる。死体なんて見たら、萌の笑顔が掻き消されちゃうんじゃないかって、怖くなるんだ」

ハンドルを握る手に力が入る。

「彼氏なんだから彼女が死んでるなんて思わないで下さいよ。死んでるかなんて解らないのに生きてる可能性を捨てるなんてダメです!」

火茂瀬が身を乗り出して、赤信号でブレーキを踏んだ僕を叱る。

「自分の目で彼女の死体を見るまで、諦めないで下さいッ!!じゃないと行方不明の彼女が可哀想です」

眉をぐっと寄せて泣きそうな顔をする火茂瀬を見て驚いた。