「彼女の死体を探しながら、僕は3年前に女性の死体が山の中で見つかる事件を任された。ビニールにくるまれた死体の特徴が美人で髪が長くて……雰囲気が、似ている気がして。萌を重ねて見てしまったんだ」

一度、深呼吸をする。

「……萌も何処かで目の前の死体の様になっているんじゃないか。そんな事を考えたら死体を助けたくなったんだ。それで僕は手で触れて見えたビジョンの男を殺してしまった」

車内の空気が重い。

比例するかの様に渋滞が酷くなる。

「それ以来、萌の復讐が出来ない代わりに、萌と重なってしまう死体を助け続けた。自己満と言ってしまえば、それまでだが、萌を助けてあげられなかった僕なりの罪滅ぼしなんだ」

信号が青になってもなかなか進まない。