声の低さで困っているのだと理解できる。 『居ませんよ。夜中に家まで送り届けたので。どうかしたんですか?』 嫌な予感しかしない。 『萌が居なくなったのよ』 『えっ!?』 『仕事だから迎えに行ったんだけど、チャイム鳴らしても出てこないし、電話しても出ないから、合い鍵で家に入ったんだけど居なくて。だから貴方の所に居るのかと思ったのよ』 『警察には僕から連絡しておきます。柏木さんはテレビ局に連絡を入れて下さい』 ケータイを片手に急いでスーツを用意する。 選んでいる時間は無い。