『あの、さ……』 僕を見つめる萌の瞳を見返せず、膝の上に乗せた小さな箱の淵を指先でなぞる。 何度も頭の中で繰り返した言葉を、思い切って口にした。 『萌、僕と……結婚してくれないか?』 しっかりと萌の瞳を見つめて伝えられた。 見えない様に隠していた小さな箱を、萌の目の前に差し出す。 『開けても、いい?』 萌は小さな箱を手にして、首を傾げる。 『うん。開けてみて』 萌はゆっくりと蓋を開けた。 中身は勿論、指輪だ。