前嶋の激しく浅い呼吸が臍を上下させる。 ゆっくり、じわじわと力を入れナイフを腹に沈める。 つぷっと血が湧き上がり、臍に血溜まりが出来る。 「いッ……ッ……」 切られているのに呻く程度で、あまり痛がっていない。 感覚が完璧に戻っていないようだ。 ならば戻してやろう。 ぐっと右手に力を入れ、下にずらしながらナイフを深く腹に沈める。 「ぅぁぁああッ!!……あぁッ……くっ……」 傷口から赤黒い血が溢れ出し、蜘蛛の足の様に腹を包み込んでゆく。