幸は静かに話しているが、薫は真っ青な顔でうつむいたままだ。
「信じられないかもしれないけど、これが日本の…いや、世界の未来だ。私たちは運よく生き残った人類なんだよ」
さわ、とぬるい風が頬を撫でていく。藍生は何も言わずに背後で様子を見ているようだった。
沈黙が流れていたそのとき、急にあわただしく部屋のドアが開いた。
「幸さん、藍生さん。奴ら、また現れました!」
「くそ、またか…」
苦々しく舌打ちした幸に、薫は尋ねる。
「奴らって?」
「戦争の弊害は、この荒廃した世界だけじゃないってことだ」
薫の問いに答えたのは、今まで傍観していた藍生だった。薫は訳も分からず藍生を見つめる。
すると、藍生はくるりと背を向けて、相変わらず機械的な声で言った。
「死にたくなかったらさっきの部屋に戻れ、ガキ」
薫は、少しいらっとしながらも、それに従うより他なかった。


