驚きに目を丸めた薫を見て、幸は目を細めた。
「以前、文献で見たことがあるんだ。それ、学校指定の体操服ってやつでしょ?今はそういうの無いんだ。ねえねえ、」
――君は、どこから来たの?
幸の言葉に、薫はただ目を見開くことしかできなかった。
「幸…お前、何言ってるんだ?」
状況がいまいち把握できていないのは、おそらくこの藍生という人物も同じなのだろう。眉間にしわが寄っている。
すると、幸は興奮気味に口を開いた。
「わかんないかなあ。薫君が酔狂なコスプレイヤーでないのであれば、彼は過去の日本からやってきた人間かもしれないんだよ?」
「はあ?」
訝しげに声を発した藍生とは逆に、薫は堰を切ったように言葉を並べた。
「俺が暮らしていたのは西暦2XXX年、場所は日本で、高校3年生で、当時は議院内閣制で…えーと、総理大臣は…」
「もういいわ」
薫の言葉を、幸が遮った。
「今は絶対王政なの。天皇がすべての実権を握ってるよ。それとね、君の言っていた高校もない」
「え…?」
「この世界はね…」


