薫の話を最後まで聞いていた幸は、やがて口許に深い笑みを浮かべた。
それは、薫の仮説を肯定しているようにもみえる。
「驚いた。私たちと全く同じ考えに達しているよ」
「え……」
幸は書類の束をまとめると、頭をかいた。
「もっと言うとね、政府はあの化け物を兵器として使おうとしてるんだ。そして現在、藍生と戦わせて、どっちが強いのか見極めようとしてる。ここだけの話、恐らく政府は人体実験もしているよ」
「人体実験!?」
「そう。だって藍生は、元は普通の人間だったんだから」
幸の口から語られる藍生の過去は、壮絶なものだった。


