ア オ イ



幸は薫の前に書類の束を積み上げた。

「これが奴等の秘密をにぎる鍵。国家機密の書類だよ」

「い、良いんですか!? こんな‥‥‥得体の知れないガキに見せられるようなものでは‥‥」

慌てて突き返そうとした薫に、幸は笑った。

「良いんだよ。私、君のこと気に入ってるんだ。信頼もしてる。それに‥‥私達ではわからない、新しい視点があるかもしれない」

「新しい視点‥‥‥」

「うん。どうしてもね、私達みたいに閉鎖空間で研究をつづけていると、視点が偏ることがしばしばあるんだ。だから外部から来た君の‥‥違う時代から来た君の意見が聞きたい」

幸は薫を見上げ、いつもの笑顔を引っ込めた。

「協力‥‥してくれるだろ‥‥?」

薫は無言で頷いた。