「あおいー!あの子、目覚ましたよ」
騒々しい女性とは対照的に、返ってきた声は酷く機械的で、低く掠れていた。
「いちいちうるさい。放っておけ」
「何言ってんのよ。あんたが一番心配してたでしょ」
話が見えずに固まったままの薫の前に、再びあの女性がやってきた。その後ろには、引きずられるようにして誰かが歩いている。
女性はにっこりと笑うと、「自己紹介するね!」とよく通る声で言った。
「私は大和幸(だいなご みゆき)。後ろにいるのが藍生(あおい)だよ」
「何勝手に人の名を教えてやがる。殺すぞ」
薫は話が見えなかったのだが、とりあえず彼らにならって自己紹介をすることにした。
「俺は谷崎(たにざき)薫です。あの、助けていただいたみたいで、ありがとうございました。あの、ここはどこなんでしょうか…」
おそらく、病院ではないことは確かである。というか、そもそも薫は車にはねられたのではなかったかと、再び頭が混乱した。
困った様子の薫を見て、幸は何を思ったのか、いたずらっ子のように笑うと言った。
「ここは日本だよ。西暦3XXX年の、ね」
「えっ…!?」


