「何そんな慌ててんだよ?」
藍生は心底不思議そうに薫を見返す。薫は顔を真っ赤にして叫んだ。
「当たり前じゃないですか!俺、男ですよっ」
「だから何だ。お前くらいの年なら、女の裸のひとつやふたつ、見慣れてるだろ」
「見慣れてるわけないでしょーがっ!!どんなイメージですか!?」
「ほう…意外にウブなんだな」
「悪かったな!……じゃなくて、ちゃんと着てくださいってば」
薫は被せた上着をしっかり藍生に着せると、ファスナーまで丁寧に閉めてしまう。体格の差か、かなり大きめのそれは、袖が余ってかなりゆとりがあった。
(何て言うんだっけ…これ…えーっと、彼シャツ?)
薫の顔に熱が集まる。すると、訝しげな表情で藍生がこちらを見上げた。
「おい、顔が赤いぞ。慣れない戦闘で疲れたか?」
身長差のため、必然的に藍生が薫を見上げる体勢になる。薫はもげるのではないかというほど激しく首を横に振った。
「い、いや!問題ありません!」
(上目遣いって!藍生さん、あざとい…!)
しかし彼女は無意識だったのだろう、薫の苦悩など知らず、兵士に混じって建物の復旧や別人類の死体処理の作業に行ってしまった。


