それを見た藍生は顔をしかめた。
「これはどういうことだ…」
「谷崎いわく、この建物全体が奴らに囲まれているようです。あれは襲撃があったとしか…」
崩れる建物、ごうごうと上がる煙に、兵士は力なくその場に座り込んでしまう。
「ここも終わりだ……こんな数、倒せない……」
がくりと項垂れる兵士を、藍生は無感動な瞳で見下ろした。そしておもむろに上着に手をかけた。
そのまま上着を脱ぎ捨て、中に着たシャツの襟を緩め始める藍生に、ぎょっとした薫は目を丸くした。
「な、何する気ですか!?」
「……良いから黙ってろ」
藍生は声をあげている別人類を見上げ、忌々しげに舌打ちをする。そして薫を一瞥し、言った。
「私の兵器たる所以を教えてやる」
「え?」
言うや否や、呆ける薫の目の前で、藍生の背中の肩甲骨あたりが、不自然に盛り上がり始めた。
「っ…」
苦し気に唇を噛んだ藍生の背中からは、メリメリと形容しがたい音が鳴り、そこから一対の夜色の翼が現れた。
「な、っ……!?」
驚きに目を見開いた薫に、藍生は振り向いた。
「死にたくなければ逃げろ」
「はぁ…?」
「巻き込まない自信が無い」
そう言うと、藍生は空高く舞い上がり、一度に数十体の別人類の首を切り落とした。


