その様子を見ていた国王はふっと鼻で笑うと、薫と藍生の横をすり抜けて会議室を出ていく。
室内には、藍生と、気まずそうにその背中を見つめる薫の二人になった。
お互い無言のまま、扉が閉まる音を聞く。
無機質な音のあと、沈黙を破るように薫が口を開いた。
「俺、謝りませんよ」
藍生は怪訝そうに眉を寄せて薫を見上げる。薫も僅かながら自分よりも目線が下の藍生をやや伏し目がちに見返した。
「俺は間違ったこと言ったつもりはありませんから」
力強く言い、薫は藍生を抱き締めた。
「本気でムカついたんです。あなたのことを侮辱したあいつの言葉に」
「……どうしてお前が…そんなに…」
藍生は心底訳がわからないという顔をして、薫の腕に収まっている。引き剥がそうと試みたが、思いの外力が強く、ぎゅうぎゅうと抱き締めて離さない。


