ア オ イ




国王は意地悪く笑うと藍生に目をやった。


「随分と懐かれているようだな」

「まだガキなだけだ」


藍生はつんとした態度でそう返すと、薫の腕を掴んだ。


「自分の立場を考えろ。相手は国王なんだぞ」

「地位が高いからって人権侵害をしても良いだなんてことはありません」


薫も一歩も引かず、腕を掴まれたままにやにや笑いの国王を睨み続ける。

目を丸くした藍生に、国王はついに声を出して笑った。


「ははは!!兵器に人権があるなどと…寝言は寝て言え!!」

「この人は兵器なんかじゃない!」


薫は声を裏返し、腕を掴んでいる藍生の手が僅かに震えていることにも気付かずに、怒りに身を任せて叫んだ。


「この人は人間だ!心臓だって動いてるし、言葉も話せる。何より、俺たちを守るために戦ってくれてるんだ。あんたみたいなクズ野郎に…」

「薫!」


薫の言葉を遮ったのは藍生だった。その顔は酷く悲しげに揺れている。


「もう…良いから…」


いつもの高圧的な言い方ではなく、消え入りそうな声色で、藍生は絞り出すように言った。