訓練兵に連れられるまま、薫も藍生の後ろについて行った。何でも、国王陛下とやらが薫の能力に興味を示し、はるばる危険を冒してやってきたということらしい。
ちっともありがたいと思わないし、薫からしてみれば藍生を兵器扱いする国王など会いたくも無かった。
「こちらです」
案内され、会議室に入ると髪を綺麗に撫でつけた、おおよそこの場にそぐわない小奇麗な格好をした男がテーブルに着いていた。
彼は藍生を見るなり立ち上がると、彼女の手をがっしりと取った。
驚いてのけ反る薫を無視し、男は言った。
「おお、藍生。元気そうだね」
「おかげさまで」
藍生はいつもの低いテンションで答えると、「わざわざ国王陛下が直々にこんなところに何しに来たんですか」とあまり丁寧で無い口調で尋ねた。
すると、男――国王は薫に目線をやり、「いやね」と笑う。
「あの化け物どもを倒すための重要な役割を持った人物が現れたと聞いてね。一目見たくて来たんだよ」
「ご苦労なこって」
藍生は興味無さそうに言うと、薫の背中を押して国王の前に立たせた。
「こいつが別人類の気配を感知する谷崎薫です」
「ほう、君が…」
じっと黒目がちの瞳に見つめられて、薫は思わず一歩引いてしまった。


