藍生は、がしゃん、と音を立てて柵に寄りかかると、毛先を弄った。
「前に、幸にも似たようなことを言われた。別人類との戦闘には邪魔だから、私は切ろうと思っていたんだがな。物凄い形相で止められた」
「たぶん俺も止めますよ。勿体無いですもん。そんなに綺麗な髪なのに」
薫は自分の周りにいた女子のことを思い出す。
パーマをかけたり縮毛矯正をかけたり、染色されていた彼女たちの髪の毛は傷み切っていて、お世辞にも褒められるようなものでは無かった。
この時代に来てから、驚くことばかりだし、こんなにも一人の人を気に掛けたことが無かった。
「…まあ、長くてもこうして結えば良いし、褒められるのは悪い気はしないな」
「大袈裟かもしれないですけど、そんなに綺麗な髪初めて見ましたよ。俺の周りの女子はみんな傷んでましたからね」
「幸も研究に没頭しているからかはわからんが、伸び放題でぼさぼさだぞ」
一瞬ではあるが、ふと藍生の表情が和らぐ。薫の心臓がどくりと跳ねた。
(え、今…笑ったのか…?いや、でも一瞬だったし)
薫は改めて藍生の顔を見てみる。
化粧っけは無いが、切れ長の目に意外としっかり睫毛がしっかり生えていて、鼻筋も通っている。
薄めの唇だが、形は良い。柔らかそうだ。
結論、よく見たら結構美人。
(って、何考えてんの、俺!!)
薫は自分の思考回路に頭を抱えたくなった。


