ジャージに着替えた面々は、教師の引率で街中を走っていた。
この高校の開校マラソンは、地元ではそこそこ有名な行事で、練習だというのに商店街や道端には市民が応援に駆け付けている。
薫は横断歩道に差し掛かり、歩行者信号が赤であるのを認識して少し歩調を緩めた。
(時間もったいねー…)
一度止まってしまうとつらいんだよな、と考えつつ、その場で足踏みをしながら信号が変わるのを待つ。
その時、甲高い女性の声が響いた。
「ああ、危ない!!」
その声に、薫ははっと顔を上げる。
左折した車が、なぜかこちらに向かっている。
それを見たその瞬間、薫は体に強い衝撃を受けた。


