薫が申し訳なさそうに頭を下げると、藍生はコーヒーをすすりながら不思議そうに見返した。
「別に。あれは事故だろう」
「いやいや、でも…」
「お前が頭を下げたからと言って何かが変わるわけでもない。私も忘れてやるから、お前も忘れろ」
つん、といつもの調子で返されて、薫は口をつぐんだ。
(忘れろ、なんて……)
昨夜見た藍生の体は、思っていたよりももっと頼りなかった。
薄く華奢な肩、細い腰、少し力を入れれば折れそうな手足。
そして、その体についた柔らかな膨らみ。
「薫君?」
「ふぇ、あ、はい!」
幸に声をかけられて、薫は意識を戻した。
「顔、真っ赤だよ?」
そう指摘する幸はどこか楽しげだ。周りの兵士も悪乗りして「思い出してんだろ、エロガキー!」などと囃し立てている。
「ち、違います!!」
薫はスープを掻き込んだ。


