その日の晩、薫はシャワーを浴びる時間を逃して部屋で一人途方に暮れていた。
(考え事してたらすっかりこんな時間に…)
この組織はシャワーの時間もある程度決まっている。あまり遅い時間だと、燃料代節約のためにボイラーが止まるので水しか使えなくなるからだ。
やむを得ない、薫は仕方なく水を浴びる覚悟で部屋を出た。
シャワー室まで続く廊下は薄暗く、ほとんどのメンバーは部屋で思い思いの時間を過ごしていることが伺える。
薫は早足でシャワー室に向かった。
だから気付かなかったのだろう。
そこには先客が居り、シャワーの音が響いている。
個室は無く、基本的に共同のため、男女は時間で区切られているが、こうも夜更けでは関係無いだろう。
脱衣所の籠をちらりと一瞥して、誰が入っているかを確認する。
見覚えのある服が畳んで入っていた。
(あ、藍生さんかな)
男同士ならちょっと挨拶すれば問題は無いだろう。薫はさっさと服を脱いで、脱衣所の籠に放り投げた。
さて入ろうかと体をひねった時、ちょうどシャワー室のドアが開いた。
「あっ、こんばん――」
挨拶をしようと口を開いた薫だったが、それは最後まで言えずに固まる。
薫の視線の先には、目を皿のように見開いた藍生が居た。それはわかっている。
しかし、薫の意識はそこではなく。
藍生の胸に存在する2つの丸い膨らみを凝視していた。
「え…えぇええええ!?」


