ア オ イ




「そうみたいですね」


薫は何故自分にこんな能力が備わったのかわからなかった。

前の世界にいたときは、人の気配や何かには鈍感だった気がするし、そんなに周囲にアンテナを張っていたわけでもない。

未来の世界に飛ばされ、無意識に自分の役割を欲していたのだろうか。

幸が思い出したように立ち上がり、薫を見上げる。


「今は奴らの気配は感じないの?」

「はい。何も感じません。…先日の襲来が嘘みたいです」

「そっか」


幸はふむ、と一人頷くと、藍生を見やる。


「さっき薫君が言ってた、別人類のリーダーが居るとすれば、確実に藍生は警戒されるだろうね。加えて奴らは鼻が利く。藍生の匂いを覚えてるのかもしれない」

「別に…警戒されようが関係ないだろ。来ないのならこちらから叩けば良い」


藍生はそう言って薫に視線を移した。


「その為にお前が居るんだろう、薫」

「え…」


不意に話を振られて固まる薫に、藍生は構わず続けた。


「この世界でお前のやるべきことは、そういうことだ」

「……」


藍生の言葉を整理するなら、人類の存続をかけたこの戦いに、参加しろということだ。

薫は突然のことに何も言えなくなってしまう。