ア オ イ




パンとサラダに噛り付く薫とは対照的に、藍生はコーヒーをちびちびと飲んでいるだけだ。

それであの化け物と戦うつもりなのかと心配になるが、藍生の強さは先日の戦闘で身に染みたので何も言わないことにする。

すると、幸が食べ終わって空になった食器を重ねながら突然言った。


「薫君。早速なんだけど、君の感知能力がどれほどのものか調べさせてもらっていいかな?」

「え?」


薫は当然首をかしげる。何故急に。

幸は薫の考えていることを見透かしたように苦笑した。


「君の能力があれば別人類の群れを一掃できるでしょ。そうすれば私たちの勝利は現実味を帯びてくるじゃない?」

「人間やほかの生物みたいに集落や巣をつくってるかも知れないだろ?それをお前の能力で探せたらなあって昨日話してたんだ」


補足するように会話に入ってきたのは、幸と同じ研究室員の亘(わたる)という男だった。

薫は唸る。


「良いですけど…どうやって調べるんですか」


何だか嫌な予感しかしない。

幸は「安心してよ!」と笑った。


「実地調査に同行してもらうだけだから!」

「最早身の危険を感じるんですけど!?」


薫の叫びは誰にも拾われなかった。