ア オ イ




「何を言ってる」


冷たい物言いをして、藍生は薫を睨み付けた。薫は怯みそうになる自分を叱咤して、負けじと真っ直ぐに藍生を見返した。


「さっき俺を庇ってくれたとき、あなたは温かかった。心音だって聞こえました。あなたは兵器なんかじゃない」


炎がぼう、と一際高く燃え上がった。

薫は言った。


「あなたは、生きた人間です」





不自然な沈黙が流れる。

やがて、薫の言葉に、藍生はふと自嘲気味に笑った。


「馬鹿を言うな」


そして足元に転がる屍を蹴落とす。


「これを見ろ。これは私が一人で倒したんだ。この化け物をな。それでいて一切の傷も負わず、息を乱すこともない」

「…………」

「生きた人間だと?笑わせるな。私を兵器だと表現するのが気に入らないなら、それでも良い。だがな」


最後の一体が穴に落ちていく。薫は藍生から目を離さない。


「兵器でないなら、私はただの化け物だ」


そう吐き捨てた藍生の顔は、酷く切なげだった。