ア オ イ




市民の避難は幸や駐在兵が素早く行った。

薫も幸に連れられてシェルターに隠れようとした。しかし、どうにも藍生一人を残して避難することができない。


「薫君?」

「…藍生さんが戦ってるのに…」


薫は唇を噛む。幸はじれったそうに言った。


「私たちと藍生は次元が違うんだよ。あの子は兵器だ。奴らを倒すために作られた兵器なんだよ!」

「でも…!」


そんなやり取りをしていると、不意に薫の背に寒気が走った。奴らの気配だ。


「!!」


見上げると、藍生の攻撃を躱したらしい別人類がこちらに腕を振り上げていた。薫は一瞬身を竦ませたが、すぐに手近に落ちていた廃材を拾い上げると、それを奴の喉元目がけて突き立てた。

しかし、しょせんは素人の悪あがきだ。大したダメージも与えられないまま、薫には無情にも化け物の手が伸びる。


「薫君!!」

「……!!」


薫は幸の声をどこか遠くに聞きながら、襲い来るであろう衝撃に耐えるため目を固く閉じる。しかし、薫は温かく柔らかいものに包まれていた。


「え…?」

「馬鹿が。素人のクセに奴らに手出してんじゃねえよ」


薫はあろうことか藍生に抱きしめられていた。