「早く行かないと…あんたはここの市民に避難を呼びかけて」
幸が道路に乗り捨てられていた車に乗り込む。
「薫君も早く乗って」
「え、あ…はい」
エンジンをかけ、車を発進させながら幸は苦々しく呟いた。
「まさかこのドームが破られるなんて。今までにこんなことは無かったはずなのに」
「あの、もしかして…」
「原因はわからん。無駄口叩いてないで、自分の身を守ることを考えろ」
俺のせいですか、と言いかけた薫を遮ったのは意外にも藍生だった。薫はぐっと押し黙る。
その時、ぞわぞわと薫の背中に悪寒のようなものが走った。何かがものすごい速さで近づいてくるような、そんな気配を感じる。
(何だ…この感じ…!?)
ほぼ無意識に、薫は叫んでいた。
「下に何か…何かいる!!」
その声とほぼタイミングを同じくして、地面が割れ、そこから何体もの別人類が姿を現した。
「なっ…!?地面から…!?」
幸は驚いたような声を出しながらブレーキを踏む。
車は完全に囲まれてしまった。


