学校に着くと、仲の良い友人がいつものように薫を取り囲んだ。
基本的に馴れ合いを好まないタイプだが、薫自身彼らを邪険に扱ったりはしなかった。
気が合う仲間とは、一緒に居たいと誰しもが思うものである。
「かおるちゃーん!おっはよ!」
仲間内でも特に騒がしい一成(かずなり)が、薫の姿を見るなり体当たりをかます。
薫は手慣れた様子でそれを受け流し、「おはよー」と軽い挨拶をした。
「あ、そういや聞いたか?今日の体育、再来週の開校記念マラソンの練習だってさ。20キロも走らされんのかよ…」
「うっわ、マジか…。たぶんガチなのは、陸上部と野球部だけだろ?」
げっそりと顔をひきつらせて、一成の後ろから顔を出した太(ふとし)が言うのに、薫も同じく顔を曇らせた。
このメンバーは、基本的に体を動かすのは嫌いではないが、やらされている感が拭えない体育の授業が苦手であった。
「ま、テキトーにながそーぜ」
一成が八重歯を見せて笑った。


